全体企画概要
タイトル シチズンサイエンスで科学を文化に!
日時 2024年 7月 26日
講師 榎戸 輝揚(京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻宇宙放射学講座 准教授)
世話人 田中颯(東京工業大学 M2)、冨谷卓矢(東京大学 D2)
内容 シチズンサイエンスという、市民と一緒に科学研究を行うスタイルがあります。日本でも少しずつ挑戦する人たちが現れてきました。私(榎戸)は、X線天文衛星を用いた中性子星の観測的研究を進めるかたわら、日本海沿岸に冬季に到来する雷雲からの放射線を測定するシチズンサイエンス「雷雲プロジェクト」を進めてきました。このプロジェクトでは、市民サポーターのご自宅に小型のガンマ線測定器「コガモ」を設置して、冬の雷雲の中で起きている粒子(電子)加速の現象を、研究者だけではなく地元の人と一緒に測定します。宇宙線の発見以来、どのような天体でどういった粒子加速が起きているのかは高エネルギー宇宙物理学の大きなテーマですが、自分たちの身の回りでも類似の現象をすぐに観測できるわけです。日本海沿岸の雷や雷雲の観測では、雷で光核反応が起きることもわかり第1級の科学成果も出ています(Enoto et al., Nature, 2017)。最近は、大学院生の検出器の製作とデータ解析の実践的な教育の場としても機能させようともしています。この雷雲プロジェクトでは、単なるアウトリーチを超えて、科学を文化として多くの人と楽しんでいく、という社会実験の試みも狙っており、金沢の市民サポーターと楽しんでいます。大型化する研究の中で、小型で駆動的な装置を複数設置して科学成果を狙い、市民と連携していく共創型サイエンス(Collective Power of Science)は、新しい持続的な科学の視点として注目しています。シチズンサイエンスにまつわる体験談をお話します。
全体企画公募
全体企画公募は終了しました。
【参考】 過去の企画
- 2023年 公募企画 「学部生、大学院生に向けたアウトリーチ活動」
- 2022年 公募企画 「コロナ禍の研究室コミュニケーション」
- 2021年 公募企画 「アウトリーチ2020年代!」
- 2020年 公募企画 「あつまれ 大学院生の知恵」
- 2019年 公募企画 「若手のための研究補助ツール紹介」
- 2018年 公募企画 「天文学と安全保障」
- 2017年 公募企画 「院生の未来を並べてみる〜アカデミック? 民間就職?〜」
- 2016年 公募企画 「大学院生ための英語科学論文読み方セミナー」
- 2015年 公募企画 「海外での研究生活」
- 2014年 公募企画 「ビジュアルプレゼンテーション入門」
- 2013年 公募企画 「夏の学校の今後を考える」
- 2012年 公募企画 「みせてもらおうか、修士・博士の実力とやらを?」
- 2011年 公募企画 「アウトリーチ2010年代!」
- 2010年 公募企画 「ALMA時代に向けて ~ 若手たちの提案」
- 2010年 天文学と社会「天文学とSF」
- 2009年 公募企画「天文学におけるコンピューターシミュレーションの広がり」
- 2008年 天文学と社会「天文学とマスコミ」
- 2008年 天文学の舞台裏「天文学界のイメージと実際」
- 2007年 公募企画「みせてもらおうか、PDの実力とやらを」
- 2007年 天文学と社会「サイエンス・コミュニケーション - 先端科学と社会の架け橋 -」
- 2007年 天文学の舞台裏「天文学者の見る天文研究」
- 2006年 事務局企画「栄光へ向かって走る学生たちへ」
- 2006年 天文学と社会「こんな天文学知ってますか」
- 2006年 天文学の舞台裏「天文学の舞台裏は社会の表舞台!? - Astronomers loose on Earth -」
- 2005年 事務局企画「AstroEconomics」
- 2005年 天文学と社会「天文学と社会の相互理解」
- 2005年 天文学の舞台裏「天文学のごめんなさい ?天文学者のホンネとタテマエ?」
- 2004年 全体企画「物理と天文の関わりの現状や将来展望」
- 2004年 天文学と社会「天文普及を楽しむ」
- 2004年 天文学の舞台裏「研究の裏側にある天文学の社会性」
- 2003年 事務局企画「大規模シミュレーションと巨大観測プロジェクト -近未来における理論と観測の関わり合い-」
- 2003年 天文学と社会「海外研究にまつわる話」
- 2003年 天文学の舞台裏「これまでの研究、これからの研究 ?研究者の通る道?」
- 2002年 全体企画&特別セッション
- 全体企画:「近未来の巨大プロジェクトが成す、宇宙の解明」
- 特別セッション1:「すばる」と新中口径望遠鏡計画
- 特別セッション2:「プレゼン道入門」
- 2002年 天文学と社会「天文教育」
- 2002年 天文学の舞台裏「天文学と思想」
- 2001年 全体企画「「ベンチャー」天文学のすすめ」
- 2001年 天文学と社会「人々が求めている天文学ってナンダロウ?」
- 2001年 天文学の舞台裏「海外と日本の研究」