セッション

ディスカッションセッション

ディスカッションセッションとは

例年の夏の学校ではポスター講演やコーヒーブレイクなどを通じて、参加者同士が積極的に議論しやすい環境となっていました。今回の夏の学校もオンライン開催になりましたが、同様に参加者同士の議論を促進するためにディスカッションセッションを設けることにしました。ディスカッションセッションは議論の端緒となるように、大まかなテーマ設定とそれに関する導入講演が予定されています。導入講演の後にブレイクアウトルームに分かれて、少人数での議論・交流を行って頂きます。このディスカッションセッションは、参加者の交流の輪を広げるだけでなく、参加者が多角的な視点を持つことに繋がる場になると考えています。

コンパクト天体分科会 2日目
テーマ : 理論と観測によるコンパクト天体の相互理解
内容 :

4日目
テーマ : 天文学は何に役立つのか?
内容 :
観測機器分科会 2日目
テーマ : 他波長の世界を覗いてみよう!
内容 :

4日目
テーマ : 他波長の検出原理・較正手法を覗いてみよう!
内容 :
銀河・銀河団分科会 2日目
テーマ : コロナ禍での研究生活
内容 :

4日目
テーマ : 天文学における解析ツール
内容 :
星間現象分科会 2日目
テーマ : 多波長観測で探る星間現象
内容 :

4日目
テーマ : 招待講演についての議論
内容 :
星・惑星形成分科会 2日目
テーマ : 自己紹介
内容 :

4日目
テーマ : 星・円盤・惑星の相互理解
内容 :
太陽・恒星分科会 2日目
テーマ : 太陽・恒星における磁気活動現象
内容 :

4日目
テーマ : SUNRISE-3で可能な観測計画
内容 :
重力・宇宙論分科会 2日目
テーマ : 重力分野と宇宙論分野の意見交換 その1
内容 :

4日目
テーマ : 重力分野と宇宙論分野の意見交換 その2
内容 :

セッション

7つの分科会に分かれてセッションを行います。
ここではそれぞれの分科会について紹介しています。

コンパクト天体分科会

タイトル(天体が)密です!!
座長団 橋山和明 (東京大学・M2)、佐藤優理 (青山学院大学・M2)、高橋幹弥 (筑波大学・D1)、反保雄介 (京都大学・D1)、宇野孔起 (京都大学・M2)
紹介文  宇宙では日々どこかで超新星爆発やガンマ線バースト、高速電波バースト、潮汐破壊、相対論的ジェットといった実験室では実現不可能な高エネルギー現象が起きている。このような高エネルギー現象は中性子星やブラックホール、白色矮星などのコンパクト天体が起源だと考えられており、それらは宇宙の様々な高エネルギー現象を引き起こすエンジンとなっている。
  高エネルギー現象の一例として、人類が2015年にブラックホール合体による重力波の初検出に成功したことは記憶に新しい。さらに、2017年には連星中性子星からの重力波検出に加え、電磁波追観測によるガンマ線バーストやキロノヴァの観測が行われた。このように、1つのイベントに対して多様な方法で迫ることが可能となったのだ。いわゆるマルチメッセンジャー天文学の開幕である。一方、このような観測事実を説明するためには理論的解釈が必要不可欠である。近年では「富岳」や「アテルイII」に代表されるスーパーコンピュータの発達によって計算技術が一層向上し、相対論的磁気流体シミュレーションをはじめとする高精度かつ大規模な数値計算が可能となった。このような観測事実とそれを説明する理論的解釈の協力の上で、人類は高エネルギー現象のより深い理解を探究していくことができるのであろう。高エネルギー現象の今後の解明には期待が高まるばかりである。
  上述した通り、高エネルギー現象を担う天体の多くはコンパクト天体であり、高エネルギー現象の完全な理解にはコンパクト天体を理論と観測の側面から研究する必要がある。本分科会は高エネルギー現象やコンパクト天体にまつわる多種多様な講演・議論を行うための場を設けた。コロナ禍の数少ない同世代との交流・議論の絶好の機会として、参加者にとって有意義な時間となれば幸いである。
招待講師 志達めぐみ氏 (愛媛大学)
浅野勝晃氏 (東京大学)
注釈 振り分け基準
  • アブストラクトから期待される発表内容を重視して振り分けます。
  • 同程度の内容が複数ある場合、レビューより自身の研究発表の方が振り分けの上で若干優遇されます。レビュー同士では、自身の研究目的に繋がる(新たな考えなどがある)場合の方が優遇されます。
  • 以上の基準から判断して同程度の優先度の場合に限り、M1が優先されます。

守備範囲
  • 重力波は重力理論分科会で扱います。
  • ブラックホールについて、天体周辺のガス降着の数値計算や実際の観測結果についてはコンパクト天体分科会で扱います。一方、重力理論の検証や時空構造の研究は重力理論分科会で扱うこととします。
  • 連星について、中性子星のようなコンパクト天体が付随する連星はコンパクト天体分科会で扱います。そのような連星の合体による高エネルギー現象もコンパクト天体分科会で扱います。一方、恒星同士の連星や連星形成を扱う研究は星惑星分科会で扱います。
キーワード 大カテゴリ : 「コンパクト天体」「宇宙素粒子」
小カテゴリ : 「中性子星」「マグネター」「ブラックホール」「超新星爆発」「潮汐破壊」「連星合体」「白色矮星」「降着円盤」「激変星」「ジェット」「活動銀河核」「ガンマ線バースト」「キロノヴァ」「パルサー」「星間現象」「宇宙線」「高速電波バースト」「高エネルギー粒子」「強磁場」「ニュートリノ」「連星」

観測機器分科会

タイトル 観測装置 ―来る新時代の観測に向けて―
座長団 加藤勢 (東京大学・D2)、坂部健太 (京都産業大学・D1)、坂栗佳奈 (東京大学・M2)、松英裕大 (名古屋大学・M2)
紹介文  今日の天文学は、電波、赤外線、可視光、紫外線、X線、γ線といった電磁波のみならず、ニュートリノ、さらには重力波といった様々な観測手段を用いて盛んに研究が行われています。近年では、EHTによるブラックホールの直接撮像成功、日本でも重力波望遠鏡KAGRAが観測を開始するなど、我々の研究が未来の天文学を切り開き、TMT、SKAといった新時代の望遠鏡に向けた観測装置の開発が各所で進められています。天文学における新たな世界の広がりには、従来の観測手法や機器の改善・発展によって生み出されていくことでしょう。今後の新たな技術開発のためには、日頃出会うことのない異なる波長帯でのアクティビティ、開発の先にあるサイエンス、並びに他分野の研究者とのコミュニケーションが鍵となるのではないでしょうか。
  本分科会では、日本が世界に発信する最先端の観測機器の技術開発について、サイエンス、ハードウェア、ソフトウェアという3つの観点から理解を深め、互いに議論する場を設けます。多岐にわたる研究分野の中で、多くの学生と議論を交わし、互いを高め合える場となることを期待しています。是非ご参加ください。
招待講師 毛受弘彰氏 (名古屋大学)
関谷洋之氏 (東京大学)
注釈 振り分け基準
  1. 自身の行った実験や評価試験の発表のみでなく、開発しているハードウェア/ソフトウェア(レビューであれば対象としているもの)の背景と新規性を理解していることを求める。
  2. M1の優先は行わない。
  3. 応募数が定員数を上回った場合、アブストラクトを参考に振り分けを行う。
守備範囲
望遠鏡・検出器等のハードウェアの開発および機器制御等のソフトウェア開発に関するものは基本的に観測機器分科会で扱う。
開発する装置が目指す科学目標に話の重点を置く場合は、それに該当する分科会で扱う。
キーワード 大カテゴリ : 「ハードウェア開発」「ソフトウェア開発」
小カテゴリ : 「電波・CMB」「赤外線」「可視光」「紫外線」「X線」「ガンマ線」「重力波」「宇宙線・ニュートリノ」

銀河・銀河団分科会

タイトル 銀河への旅、出発進行! 〜観測、理論、そして仲間と共に〜
座長団 三橋一輝 (東京大学・D1)、朝野哲郎 (東京大学・D1)、米倉直紀 (愛媛大学・D1)、浅田喜久 (京都大学・M2)、石井希実 (筑波大学・M2)、植松亮祐 (京都大学・M2)、杉森加奈子 (総合研究大学院大学・M2)、大工原一貴 (東北大学・M2)、萩本将都 (名古屋大学・M2)
紹介文  宇宙における基本的な構成要素である銀河・銀河団の理解は近年めざましく進んでいる。観測においては8m級地上望遠鏡・宇宙望遠鏡・干渉計の多波長における活躍により今まで我々の知らない銀河の姿が明らかにされてきた。理論においては計算機の発達によりこれまでにない分解能や速度が達成され、観測からはアプローチできない点での大きな進歩が得られている。また、近年では高性能の観測装置と機械学習を組み合わせた研究も盛んに行われており、これまで人間の能力では限界があった分野においての発展にも目を見張るものがある。今後もTMT・Roman・JWST・SKA・ngVLAなどの次世代望遠鏡や富岳などの高性能の計算機により可能なサイエンスは広く・深くなっていくであろう。
  このように我々は恵まれた時代に生まれ、得られる情報は日々増大していく。一方、スケールの違いはあれど根本でつながっている銀河研究において、その包括的な理解は非常に難しくなっていくことが予想される。そこで本分科会は、幅広い研究分野にわたる知見を広げるための議論の場を提供することを目的とする。日進月歩の本研究分野において我々は無限の可能性を秘めているが、新たな研究の扉は自分1人で開くことは難しい。銀河研究を志す我々にとって、自分の持つ銀河への情熱を語り合い、共に成長していけいるような仲間と出会うことは重要である。ここ1年の状況を鑑みるとそのような機会は非常に貴重であり、本分科会をそのきっかけとして活用してもらえることを心から期待する。
招待講師 北山哲氏 (東邦大学)
日下部晴香氏 (ジュネーブ大学)
注釈 振り分け基準
  • 講演は主に「アブストラクト・学年・独自性」を基準に振り分ける。
  • アブストラクトは完成度が高いもの、学年は低学年ほど優先される。
  • (1)独自の研究> (2)独自の解釈等を含むレビュー講演> (3)レビュー講演の優先順位とする。(2)に該当する場合は、アブストラクトにその旨を明記すること。
  • 分野ごとに講演の数が偏っていた場合は調整を加える可能性がある。

守備範囲
  • 活動銀河
  • 球状星団を1つの系としてみる場合など
  • 超大質量ブラックホール、AGNと銀河の共進化
  • 系外銀河内の星形成あるいは銀河系内のkpcスケールに関連する星形成活動
  • Mpc以下のスケールの構造形成について、その構造をトレースするものが銀河である場合(例えば銀河団、銀河クラスタリングなど)
  • 銀河形成に関連するフィードバック(SN, AGN, 大質量星による輻射等)
  • 銀河/AGNによる宇宙再電離への寄与
  • 銀河間物質と銀河進化の関係

守備範囲外
  • Gpc以上の大スケールの構造形成→重力・宇宙論分科会等
  • AGNのブラックホールとしての挙動やジェットに注目する場合→コンパクトオブジェクト分科会等
キーワード
  • 銀河系
  • 矮小銀河
  • 近傍銀河
  • 遠方銀河
  • 活動銀河(AGN)
  • 銀河群・銀河団
  • 球状星団
  • 星形成(系外 or 系内のkpcスケール以上)
  • 化学進化(系外 or 系内のkpcスケール以上)
  • 銀河形成

星間現象分科会

タイトル あなたとわたしの星間現象
座長団 小柴鷹介 (京都大学・M2)、大城勇憲 (東京大学・M2)、津田雅弥 (京都大学・M2)、樋口諒 (名古屋大学・M2)、山田麟 (名古屋大学・M2)
紹介文  銀河は主に星とその間を満たす星間物質から構成されています。銀河内の物質は星間物質から星へ、星から星間物質へと姿を変えることにより進化していくため、星間物質の物理現象を理解することは銀河進化の理解に不可欠です。星間物質は主にガスとダストなどからなり、周囲の環境によってコロナガス、HIIガス、HIガス、分子雲、などの温度や密度が大きく異なる様々な姿をとります。そこでは加熱と冷却、化学反応、乱流、衝撃波などの多彩な物理現象がおきており、これらの現象を観測・理論の両方から明らかにすることが星間物質の進化を理解する上で重要です。そのため観測分野では、銀河系内を中心に電波からγ線までの多波長で観測を行うことで星間現象を理解する試みがなされています。その観測は、SKA(センチ波)、ALMA(サブミリ波)、TMT(可視光,赤外線)、XRISM(X線)、CTA(γ線)などの新時代の望遠鏡によってさらに進展すると考えられます。一方理論分野では、高性能計算機を用いて磁場の影響、分子雲衝突、不安定性の非線形解析などの数値シミュレーションが行われています。以上のように、多波長による観測とシミュレーションを通した理論を総合的に結びつけて考察することで、星間現象についての理解が深まり、銀河内の物質進化を解明することができます。本分科会では、主として観測・理論を問わず銀河内の詳細な星間現象について、星の母天体である分子雲から超新星残骸まで様々なものを取り扱います。招待講演では星間現象の分野の最先端で活躍されている講師の方々を招き、星間現象の面白さや最新の成果、問題点などについて講演していただく予定です。
招待講師 内田裕之氏 (京都大学)
佐藤寿紀氏 (理化学研究所)
注釈 振り分け基準
  • アブストラクトから期待される発表内容を重視して振り分けます。
  • レビューより自身の研究発表の方が振り分けの上で優遇されます。レビュー同士では、独自の解釈・主張が含まれる発表の方が優遇されます。つまり、自身の研究 > 自身の研究に繋がるレビュー > 単なるレビューの順で振り分けは優遇されます。
  • 以上の基準から判断して同程度の優先度だった場合に限り、M1が優先されます。
キーワード 大カテゴリ : 「超新星残骸」「星形成領域」「分子雲」
小カテゴリ : 「メーザー」「PAH」「CMZ」「フィラメント」「分子雲衝突」「星間乱流」「星間磁場」「ダスト」「惑星状星雲」「光解離領域」「HII領域」「HIガス」

星・惑星形成分科会

タイトル 星の誕生から惑星系形成まで ~統一的理解を目指して~
座長団 駒木彩乃 (東京大学・M2)、土井聖明 (総合研究大学院大学・M2)、藤井菜穂 (京都大学・M2)、前田夏穂 (神戸大学・D1)、森井嘉穂 (東京大学・M2)
紹介文  本分科会では星形成の初期段階から始まり星周円盤進化を経て最終的に形成された星・惑星・小天体の物理的構造までを対象としています。
  サブpcスケールの分子雲フィラメント/コアの収縮によって原始星とその周囲に星周円盤が形成されます。星の約半数は連星系として誕生します。中心星が前主系列星段階になると円盤は原始惑星系円盤と呼ばれ、その内部で惑星が形成されます。惑星は形成後、大規模な軌道進化をすると考えられています。太陽系小天体は惑星の軌道進化に伴って散乱・混合され、現在の分布になったと考えられています。以上のように星・惑星系形成には様々なスケールの運動が関わっていることが明らかとなっていますが、その物理過程の詳細については未だ解明されていません。これらの課題は星・惑星系の形成・進化、更には生命誕生の起源など普遍的な科学の問いに直結しています。
  これまで様々な手法を用いて研究が行われてきました。理論分野では各過程に関して遂行された数値計算結果から次々とモデルが構築され観測との整合性が議論されています。観測分野ではALMA望遠鏡等大型望遠鏡の開発により、星や惑星系誕生の現場と考えられる分子雲コアや原始惑星系円盤が高解像度で観測されています。この他にもケプラー宇宙望遠鏡などの活躍により現在までに4000個以上の系外惑星が発見され、多様性を持つことが明らかになっています。この多様性は多種多様な円盤進化に起因すると考えられています。探査の面では、はやぶさ2によってC型小惑星リュウグウのその場観測が行われ、リュウグウについての多くの知見が得られました。2020年12月にははやぶさ2のカプセルが地球に帰還し、現在は持ち帰られたサンプルの分析が行われています。2024年には火星衛星探査機MMXの打ち上げが予定されており、今後より詳細な太陽系形成過程が明らかになると考えられています。このように星・惑星形成には星・円盤・惑星の相互作用を含め包括的に取り組む必要があり理論・観測・探査間の協力が不可欠です。
  本分科会に参加されます皆様には、夏の学校での発表や議論を通じて分野や研究手法を超えた視野を持ち、今後の研究活動に役立てて頂きたいと思います。
招待講師 相川祐理氏 (東京大学)
臼井寛裕氏 (JAXA)
注釈 振り分け基準
  • 自身の研究>自身の研究につながるレビュー>単なるレビューで優先する。
  • 基本的に修士1年の学生の発表を優遇する。
  • 修士2年以上の発表はアブストラクトによって判断する。

守備範囲
水素燃焼する質量の星は太陽・恒星分科会で扱います。
連星形成は星・惑星形成分科会で扱います。
サブpcスケールの分子雲コアやアウトフローは星・惑星形成分科会で扱いますが、pcスケールの星形成領域や分子雲などは星間現象分科会で扱います。
ここで扱うフィラメントは分子雲内に見られる、線状高密度領域を指します。
フィラメントについて、フィラメントの分裂は星形成の初期条件を決めており星形成分野において非常に重要です。
よってフィラメントの分裂を議論する研究においては、星・惑星分科会で扱います。
キーワード 大カテゴリ : 「星形成」「惑星形成」「惑星科学」
小カテゴリ : 「フィラメント」「原始星」「褐色矮星」「太陽系外惑星」「巨大衝突」「分子雲コア」「太陽系形成」「原始惑星系円盤」「周惑星円盤」「太陽系内天体」「アウトフロー」「前主系列星」「微惑星形成」「軌道進化」「惑星環境・惑星大気」「アストロバイオロジー」「アストロケミストリー」「惑星・衛星内部構造」「デブリ円盤」「惑星地質学」「惑星物質科学」「宇宙塵・惑星間塵」「連星形成」

太陽・恒星分科会

タイトル 汝が為に星は光る
座長団 井上大輔 (京都大学・M2)、木原孝輔 (京都大学・D2)、古谷侑士 (京都大学・D2)、森塚章惠 (東京大学・M2)
紹介文  近年の太陽・恒星研究では、数多くの新しい観測が計画・実行されてきています。太陽分野では、Hinode衛星をはじめ、SDO衛星、IRIS衛星、CLASPロケットなどによる太陽表面や上空の微細構造の観測が行われ多くの成果を上げてきました。最近ではALMA、Parker Solar Probeによる成果も出始め、DKIST、Solar Orbiterも観測を開始し、今後の成果が期待されます。さらにSolar-C_EUVSTやPhoENiX、といった次世代の衛星プロジェクトも計画されています。一方、恒星分野では、これまで近赤外線帯域のすばる望遠鏡やKepler衛星、X線帯域のMAXIやCHANDRA衛星、電波帯域のVLAや野辺山45m望遠鏡などが観測に用いられてきました。加えて近年にはNICER衛星、TESS衛星、せいめい望遠鏡が観測を開始し、今後は、ひとみ後継機による恒星観測も期待されています。
  このような観測の多様化により、太陽、恒星、さらには惑星の研究者が互いに手を取り合って前に進む時代が来ており、観測だけでなく、装置開発、理論・数値シミュレーションの総合力をもって問題の解決に挑む必要があります。
  本分科会では太陽・恒星の幅広いテーマを取り上げ、広い角度から太陽・恒星の全体像を把握することを目指します。さらに招待講演では太陽・恒星分野の第一線で活躍されている研究者を2名招待し、最新の研究を紹介していただきます。最先端の研究を肌で感じ、参加者のさらなる研究意欲をかきたてられることでしょう。これらの試みにより、専門分野を超えた知識の共有や新たな発見が生まれ、本分科会が日本における太陽・恒星の研究をさらに加速させるエネルギー源となることを期待しています。
招待講師 鳥海森氏 (JAXA)
大場崇義氏 (国立天文台)
注釈 振り分け基準
  1. 論文のレビュー講演は歓迎するが、独自の研究発表に対しては優先順位が下がる。また、レビュー講演でも独自の考察があるものは、それがないものに対して優先度が上がる。よって、アブストラクトの段階で研究発表なのかレビュー講演なのか明記しておくこと。レビュー講演で独自の考察があれば、その点も明記すること。
  2. 基本的には夏の学校の発表経験のない者を優先するが、アブストラクトの完成度も考慮する。

守備範囲
  • 個々の恒星の性質を用いた議論(金属欠乏星など)は太陽・恒星分科会で扱います。
  • 連星は太陽・恒星分科会で扱います。
  • 惑星系を持つ恒星自体に関する研究は太陽・恒星分科会で扱います。
  • 恒星の集団(球状星団や銀河など)は銀河・銀河団分科会で扱います。
  • 白色矮星・矮新星はコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱います。
  • 超新星爆発や中性子星はコンパクト天体・宇宙素粒子分科会で扱います。
  • 水素燃焼が始まる前の原始星は星・惑星形成分科会で扱います。
  • 水素燃焼しない褐色矮星は星・惑星形成分科会で扱います。
キーワード 大カテゴリ : 「太陽」「恒星」
小カテゴリ : 「太陽・恒星内部」「光球」「彩層」「磁場観測」「コロナ」「太陽・恒星風」「ダイナモ」「宇宙天気」「プロミネンス」「フレア」「質量放出」「恒星大気」「主系列星」「惑星状星雲」「恒星進化」「変光星」「脈動」「磁気リコネクション」「黒点」「化学組成」「連星」

重力・宇宙論分科会

タイトル 観測事実の説明から予言まで。宇宙を翻訳しよう!
座長団 河合宏紀 (東京大学・M2)、窪田圭一郎 (京都大学・M2)、谷口貴紀 (東京大学・M2)、村田知瞭 (立教大学・M2)、佐田彩夏 (大阪市立大学・M2)、重見優奈 (東京工業大学・M2)、杉山祐紀 (九州大学・D1)
紹介文  我々の宇宙は標準宇宙モデルで非常によく説明されている。標準宇宙モデルによると、宇宙はインフレーションと呼ばれる指数関数的な膨張にはじまり、ビックバン元素合成、宇宙の晴れ上がり、暗黒時代、初代天体形成、宇宙の再電離という歴史を歩んできたと考えられている。このモデルは、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)や大規模構造の観測を通して捉えた宇宙の姿形をよく説明してきた。一方で、未解決問題も多数残されている。例えば、インフレーションの直接的証拠は未だに得られていない。また、宇宙のエネルギー密度の大部分を占めるダークマターやダークエネルギーの正体は分っていない。今後も、すばる天文台の広視野分光観測装置PFSやCMB偏光観測衛星LiteBIRDなどを用いた最先端の精密観測が行われる予定で、観測的宇宙論のさらなる発展が期待できる。我々は、理論モデルの構築、数値計算をはじめとした幅広いアプローチで宇宙を解明していく必要がある。
  さらに、素粒子論の観点から、宇宙の始まりや物質の起源と進化を明らかにする研究も行なわれている。例えば、現在の宇宙における物質・反物質の非対称性は、初期宇宙における素粒子反応の過程で生じると考えられており、素粒子論からのアプローチが行なわれている。また、ダークマターは、素粒子標準模型を越えた粒子であると考えられている。強いCP問題を解決するために導入されたアクシオンはダークマターの有力な候補の1つである。
  また、宇宙を研究する上で必要不可欠な重力理論の研究も活発に行われている。アインシュタインによる一般相対性理論はニュートン重力では説明できない太陽による光の湾曲や水星の近日点移動などの弱重力場の観測と整合している。近年、ブラックホール連星や中性子星連星による重力波やブラックホールシャドウといった強重力場の現象が観測できるようになったおかげで、強重力場においても矛盾なく天体現象を説明できることが分かった。これらの観測と無矛盾であった一般相対性理論は発表されてから現在に至るまで100年以上もの間、重力場を記述する最適な理論だと考えられている。しかし、いくつかの課題や数理的に未解明な部分も残されている。例えば、くりこみ不可能なため重力の量子化ができないことや、宇宙の加速膨張に十分な説明を与えられないといった課題がある。さらに、宇宙検閲官仮説、ペンローズ不等式、無毛仮説、フープ仮説といった未探索な数理が残されている。これらの課題に対して量子重力理論、修正重力理論、ホログラフィー原理など多方面からのアプローチがなされ、一般相対性理論の豊かな数理の積極的な探索が期待されている。
  本分科会では、宇宙論・重力理論が抱える未解明事項に取り掛かる全ての研究発表を歓迎し、参加学生が議論できる場を設ける。幅広いテーマについて活発に議論を行うことで、本研究会が各々の視野を広げるきっかけとなることを期待する。
招待講師 石橋明浩氏 (近畿大学)
川崎雅裕氏 (東京大学)
注釈 振り分け基準
  • アブストラクトの完成度(研究の背景、研究成果、研究の独自性を総合的に評価したもの)をもとに振り分ける。
  • 完成度が同程度である場合は、研究成果が分かるものを優先する。
  • レビュー講演も認める。ただし今後の自分の研究にいかに繋がるのか明記されていることを評価する。

守備範囲
以下のテーマは、重力・宇宙論分科会で扱う。
  • 宇宙論的なスケールにおける宇宙の時間発展、構造形成に関連する問題
  • インフレーション周辺の初期宇宙に関する問題
  • ブラックホールやその数理、重力波等に関連する問題
  • ダークマター、ダークエネルギーに関連する問題・修正重力、量子重力、余剰重力等に関連する問題
キーワード 大カテゴリ : 「重力理論」「相対論的宇宙論」「観測的宇宙論」「素粒子論的宇宙論」
小カテゴリ : 「Einstein重力」「analog gravity」「修正重力理論」「重力波」「ブラックホール」「初期宇宙」「インフレーション」「再加熱」「ダークマター」「ダークエネルギー」「CMB」「大規模構造」「重力レンズ」「宇宙再電離」「21cm線」「ニュートリノ」「量子重力」「ホログラフィー原理」「相転移」「量子情報」
更新履歴
  • 8/24 観測機器分科会、コンパクト天体分科会のディスカッションセッションテーマを更新
  • 8/24 観測機器分科会のディスカッションセッションテーマを更新
  • 8/19 コンパクト天体分科会の座長団の情報を更新
  • 8/17 ディスカッションセッションのテーマを公開
  • 8/15 座長団を更新
  • 7/5 招待講師を更新
  • 7/2 分科会名を修正 (コンパクト天体・宇宙素粒子分科会→コンパクト天体分科会)
  • 6/22 各分科会の概要を追加